ほぼ毎日、ソーダ割りでバーボンをボトル3分の1ほど空けるという豊崎さん。では、読書とどう両立させているのか。飲み始めるのは仕事を終えた夜7時ごろ。つまみを食べながらちょびちょびと、23時か24時くらいまで飲み続ける。そのあと寝るまでの間、寝転がって2時間ほど読書。何とまったく問題なく読めるという。なぜそんなことが? の問いには即答だった。

「ゆっくり飲むことです。そこ大事。いろんな人と飲んでいても、飲むピッチが速い人の泥酔率ってすごく高いですよ」

 試してみた。いつもは50分ほどで飲み終えていた筆者。3時間ほどかけてゆっくりとビールを飲むと、たしかに酔い方が緩やか。本も少し読めた。なるほど! これも小さな一歩だ。

■チョコと緑茶の効き目

 ただバーボンやワインならいいが、ビールを「ゆっくり」はちとつらい。よし、次は専門家だ。相談したのは栗原クリニック東京・日本橋院長で肝臓専門医の栗原毅さん(69)。「なかなか斬新な質問。難題ですね」と当惑しながらも、「秘策」をねり出してくださった。カギは、チョコレートと緑茶だ。

 糖質を含むビール、ワイン、日本酒など醸造酒を飲む人はとくに、またウイスキーなど蒸留酒を飲む人でも、飲むと食事でつい糖質を多くとりがち。カカオ成分70%以上のチョコは食物繊維が豊富で糖質の吸収を遅らせ、緑茶のカテキンは血糖値の急上昇を抑えてくれる。飲み始める前にこの二つをとることが「読書との両立」に有効だと栗原医師は言う。

「チョコは一かけ(5グラム)を2枚、緑茶は200ccが目安です」

 糖質の吸収が速いと、急激に血糖値が上がって眠くなる。また、肝臓に中性脂肪が過剰にたまる「脂肪肝」は酒飲みにリスクが高いが、実はアルコールより糖質が大きな原因だ。肝機能が低下すればアルコールを分解する力が落ち、読書との両立どころではなくなってしまう。

 つまみはたんぱく質をしっかり。たんぱく質には脂肪を燃やして内臓脂肪を落とす働きがあり、糖質の吸収を遅らせる。「食べて飲む」ことでアルコールの吸収を遅らせることもできる。麺類など締めの糖質はとらないに越したことはないが、どうしても食べたければいつもの3分の2ほどで。そしてここで再び登場、チョコだ。

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