AERA 2020年12月28日-2021年1月4日号より
AERA 2020年12月28日-2021年1月4日号より

 感染するとできる「抗体」は、半年は持続しそうとわかってきた。肝心のワクチンの効果の持続にも期待がかかるところだが、専門家の見解は。AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号から。

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 ワクチンや感染によって体内にできる「抗体」そのものは、当初、考えられていたよりは長く持続することが、感染経験者の研究でわかってきた。

 抗体とは、免疫細胞が体内に侵入してきたウイルスなどの病原体の一部を「抗原」として認識し、攻撃して排除するために産生するたんぱく質だ。病原体に感染したり、ワクチンを打ったりすると、免疫細胞が病原体の抗原を記憶するので、再度、体内に病原体が侵入してきた時にはより早く抗体が作られ、感染や発症、重症化を防ぐことが期待できる。

 多くの種類がある抗体の中でも、病原体の感染や増殖を抑え、毒性を弱める「中和抗体」は重要な役割を果たす。

 パンデミックが始まった初期には、中国の研究チームによる感染者の血液の分析などから、いったんできた中和抗体が2、3カ月後には減少してしまうという報告が出た。

 しかし、最近は、国内外の研究チームから、少なくとも半年程度は中和抗体が一定程度残るという報告が相次いでいる。

 横浜市立大学の研究チームが実施している「コロナ回復者専用抗体検査PROJECT」は、PCR検査で診断された感染者の、診断から半年後と1年後の血液を分析し、中和抗体をはじめとする様々な抗体の保有状況を調べる研究だ。

 参加者のうち、10月26日までに採血して分析の終わった376人分の中間報告によると、98%の人が診断から半年後にも一定程度の活性のある中和抗体を持っていた。

■粘膜に抗体できるか

 細胞実験で抗体の活性の程度(強さ)を調べると、症状の重かった人ほど、中和抗体の活性が強い傾向があった。

 その理由について、研究チームの梁明秀・横浜市立大学教授(微生物学)はこう説明する。

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