一方、優秀な学生を引きつける目的で、ダイバーシティーや環境問題への取り組みを「盛って」アピールする企業も増加。学生はどの企業が本気か見極めるのが難しくなっているという。

 LGBTQ支援の団体を作り、活動してきた金沢大学の広江琉花(ひろえるか)さん(22)も、大手ナビサイト主催の合同説明会や、個別企業のサイトの説明はいいことばかりで信頼性に欠けると感じていた。そんな中、アレスグッドの活動を知り、名も無い学生団体に協力してくれる企業なら、本気度が高いはず、と期待した。

■企業にとっても魅力的

 11月、「ダイバーシティー」がテーマのイベントには、愛知県のメーカー「サン樹脂」と、大手コンサルティング会社のPwCが登壇した。地方の中小企業はダイバーシティーへの関心が低いと思い込んでいたがサン樹脂の話に「いい意味で驚いた」。

 PwCの考え方にも深く共感し、同社のインターンに応募した。2022年卒予定の広江さんは、就活はせずに演劇の道に進むことも考えていたが、同社は副業も可能で「正社員で働きながら、演劇を続けている人もいる」と聞き、挑戦を決めた。

 アレスグッド代表の勝見さんはいま、自身の就活は休止し、求人サービス「NaniNaru(ナニナル)」の立ち上げに奔走中だ。

「海外留学やインターンの経験者、団体やNPOなどで活動実績のある学生が、『解決したい社会課題』というこれまでにない軸で企業を探せるサイトを作ります。問題意識を持ち行動力がある彼らは、企業にとって魅力的な人材。企業には求人広告を出してもらう計画です」

 サービスは来年4月にスタートする予定だ。(編集部・石臥薫子)

AERA 2020年12月21日号