Allesgood代表の勝見仁泰さん。Allesはドイツ語で「全て」の意味で人・地球・社会に「全てよし」をもたらす就活を提唱する(写真:本人提供)
Allesgood代表の勝見仁泰さん。Allesはドイツ語で「全て」の意味で人・地球・社会に「全てよし」をもたらす就活を提唱する(写真:本人提供)
AERA 2020年12月21日号より
AERA 2020年12月21日号より

 SNSを使いこなし、地球環境やジェンダー平等などに関心が高いZ世代。彼らは就活にも「エシカル」という新しい価値観を取り入れ始めた。AERA 2020年12月21日号から。

【図を見る】学生の2割以上が企業選びでSDGsの取り組みを重視?

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 食やファッションに広がる「エシカル消費」は、地球環境や人、社会に配慮した商品やサービスを積極的に選ぶことで社会問題の解決を図る考え方だ。東京と京都の学生6人が今年6月に結成したAllesgood(アレスグッド)が取り組むのは、ずばり「エシカル就活」。国連が提唱する「持続可能な開発目標」(SDGs)に熱心に取り組む企業と学生をつなぐ活動で、注目を集めている。

 出発点は、代表を務める高千穂大学4年の勝見仁泰(かつみきみひろ)さん(22)が就活で抱いた違和感だ。大学2年からドイツの大学で持続可能なビジネスについて学び、コスタリカの農家や、アメリカのコンサルティング会社でインターンを経験。留学仲間には、環境や貧困、ジェンダー平等など様々な社会課題に取り組むメンバーも多かったが「就活となった途端に彼らの熱量が下がり、あれ?と思った」(勝見さん)。

 今年2月に参加した「学生気候危機サミット」でも「就活を始めたら活動を続けられない」と悩む学生に出会った。仕事を通じて、課題解決に挑めるチャンスなのに、その入り口の就活が足かせになっている──。状況を変えたいと立ち上がった。

■社会課題は自分ごと

「Z世代」と呼ばれる10~20代前半の今の学生たちは、ネットやSNSを使いこなし、環境活動家のグレタ・トゥンベリさんが呼びかけたデモや、ジェンダー平等を求める世界的な動きなどにも敏感。社会課題を自分ごととして受け止める傾向が強いと言われる。アレスグッドの独自調査でも「企業選びで最も大切にする項目」として、2割超が「SDGsへの取り組み」を選んだ。しかし、採用コンサルタントの谷出正直さんによれば、そうしたZ世代と企業には意識のズレも生じているという。

「『余裕があれば社会貢献も』という時代に比べ、本業でSDGsに取り組む企業は増えています。ただそういう企業でも、直接関わっている部署の社員と採用担当者で温度差があることが多い。従来の評価軸しか持たない採用担当者に、学生が社会問題への熱い思いを語っても伝わらない」

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