人を招くことを前提に作られているアメリカのリビング・ダイニングルーム(写真/筆者提供)
人を招くことを前提に作られているアメリカのリビング・ダイニングルーム(写真/筆者提供)

 信じがたいことに、今年も残り16日。こうしている間にも大みそかの足音がずんずん聞こえてくるわけですが、皆さん大掃除はお済みでしょうか? かくいう我が家は「郷に入っては郷に従え」の精神で、アメリカに引っ越してきてからは一度も年末に大掃除をしていません(キッパリ!)。アメリカでは、春に大がかりな「スプリング・クリーニング」を行うことはあっても、年末に大掃除をする習慣はないのです(じゃあお前は春になったら大掃除をするのか? とはどうか聞かないでください)。

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 そもそもアメリカのお家は、いつ訪ねても割り合い片づいている印象です。子育て真っ只中のお宅でもそうです。「そりゃ、アメリカの家は広いから」と思われたあなた、それも地域によって間違いではないのですが、アメリカの都市部に関しては、東京もびっくりの小さなアパートメントに住んでいる家庭がたくさんあります。私自身ワシントン州シアトルに住んでいるときは60平米・1ベッドルーム(日本でいう1LDK)のおんぼろアパートで子育てをしており、周りの子育て友だちも1ベッドルーム住まいが大半でした。ただし1ベッドルームは乳幼児1人が限界で、子どもが大きくなったり2人目が生まれたりすると郊外に引っ越していくのがお決まりのパターンでした。

 シアトルは全米で最もアパートの平均専有面積が狭い都市ですが(66平米、2018年時点)、NYのマンハッタン、シカゴ、ワシントンDCやサンフランシスコといった主要都市のアパートの平均専有面積も68平米で、どこも似たり寄ったりの狭さです。「アメリカのお家は広々快適」というのは、地方都市でしかあり得ない幻想なんです。

 そんな狭い家でも、だいたいすっきり片づいて見えるのがアメリカ人の家庭。反対に、私自身も含めて日本人家庭のインテリアはどうもごちゃっとした印象が否めません。部屋が汚いというわけではないんですが、なんだか生活感がもっさり漂う……一体どうして? と数年観察した結果、気づいたことがありました。アメリカ人の子育て家庭は、リビングやダイニングといった共用スペースに子どもの物をなるべく置かないようにしているのです。

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大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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