いまやすっかりおなじみとなった非接触の体温計。マスクの上からでも瞬時に測定してくれるが、「誤差を感じる」という声も(撮影/写真部・馬場岳人)
いまやすっかりおなじみとなった非接触の体温計。マスクの上からでも瞬時に測定してくれるが、「誤差を感じる」という声も(撮影/写真部・馬場岳人)

 何度から発熱なのか。子どもの発熱基準は大人と一緒でいいのか。そんな疑問を抱いたことはないだろうか。毎日体温を測る今、改めて体温について知っておこう。AERA 2020年11月23日号で専門家に聞いた。

【図解】すぐできる!体温を上げる「まき割りスクワット」のやり方はこちら

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■疑問その1 発熱って何度以上を言うんですか

「37.5度以上の人はお断り」

 スーパーや劇場、ジム、観光地などで、そんな注意書きを見かけるようになって久しい。職場や学校でも、37.5度以上の人は出勤・登校を控えるように呼びかけている。

 日本の感染症法では、発熱を37.5度以上、高熱を38度以上としている。ただし、平熱には個人差があることから、具体的な数値を挙げるべきではない、という声もある。早稲田大学人間科学部の永島計教授はこう話す。

「平熱が36度の人と37度の人では、『37.5度』の意味が変わってきます。自分の平熱より1度上がったら『発熱』と考えたほうがいいでしょう」

 そもそも、新型コロナや風邪などを含む感染症で発熱するのは、免疫細胞からサイトカインという物質が出て、細菌やウイルスに感染した細胞を攻撃するから。発熱は免疫がしっかり機能している証拠でもある。1~2日ぐらいの熱であれば、解熱剤は飲まないほうが予後がよいというデータもある。一方で、高齢者の場合は微熱だから安心、というわけではない。

「高齢者は平熱が低く、感染症にかかっても発熱を起こす力が弱くなる。微熱であっても重症化している可能性があるので、注意が必要です」(永島教授)

 現在はコロナ禍。体調や体温に少しでも異変を感じた場合、感染拡大を防ぐためにも慎重な行動を心がけたい。

■疑問その2 子どもの発熱基準は大人と一緒でいい?

 風邪などの感染症にかかると、子どもは短時間に体温が上昇し、ときに40度以上の高熱に達することもある。だが、みくりキッズくりにっくの院長で小児科医の本田真美医師はこう話す。

「体温は子どもの体調を知る目安の一つですが、熱が高いほど重症というわけではなく、体温だけを見てすぐに受診する必要はありません」

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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