トランプ米大統領「前例ないコロナ治療」で強行退院 「司令塔でクラスター」の異常事態 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

トランプ米大統領「前例ないコロナ治療」で強行退院 「司令塔でクラスター」の異常事態

このエントリーをはてなブックマークに追加
山本大輔AERA
入院から3日でホワイトハウスに戻りマスクを外すトランプ大統領。自身を危険にさらすだけでなく感染を拡大させかねないと批判が高まる/5日(写真:gettyimages)

入院から3日でホワイトハウスに戻りマスクを外すトランプ大統領。自身を危険にさらすだけでなく感染を拡大させかねないと批判が高まる/5日(写真:gettyimages)

AERA 2020年10月19日号より

AERA 2020年10月19日号より

 トランプ米大統領は新型コロナに感染するも早期に退院を果たした。だが、専門家は命を顧みない判断であり、感染を周囲に広げるリスクがある退院だと懸念する。AERA 2020年10月19日号で掲載された記事を紹介。

【トランプ大統領の新型コロナ感染を巡る経緯はこちら】

*  *  *
 祖国への強大な敵に打ち勝った英雄の帰還のようだった。

 10月5日夜、トランプ米大統領の選挙チームが公開した動画は、ハリウッド映画の予告編さながらの演出だった。主役は大統領本人。新型コロナウイルス感染の治療を終え、大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」で首都に戻ったシーンを劇的に強調した。離陸するヘリに、マスクなしで敬礼する大統領の後ろ姿で終わっている。ホワイトハウス到着後、マスクを外しメディアに手を振った直後に撮影された。

「コロナを恐れるな」

 退院前の投稿通り、世界を苦しめるコロナにも負けない「偉大な米国」を自身に重ねたお得意の「リアリティー・ショー」だ。

 しかし、実際にはコロナに勝ったわけではない。それどころか、感染を周囲に広げる危険性の高い強引な退院だった。

■感染のリスク伴う退院

「発症が10月2日であれば、退院日は12日になるはずで、5日の退院は早すぎる。周囲へのウイルス伝播は発症後8日くらいまでみられる。大統領は10月10日ごろまで感染性がある」

 そう指摘したのは、浜松医療センター院長補佐兼感染症内科部長の矢野邦夫医師(65)。

「高齢者、肥満、男性の3条件に加え、酸素濃度が低下した人では炎症が強くなっており、重篤化する危険性がある。少なくとも12日までは十分な観察が必要。自分の命を顧みない退院判断だったと思う」

 感染をめぐる公開情報が絞られる中、断片的な情報から経緯が見えてきた。これをもとに、大統領の重症度を矢野医師に分析してもらった。

「酸素濃度が93~94%まで低下していることから、ウイルス性肺炎を合併したのは間違いないと考える。日本では『中等度・・呼吸不全なし』に分類され、重症ではない」

 医師団による治療では、重症患者向けのレムデシビル(開発中だが緊急使用は認められている)やデキサメタゾンが投与された。コロナ治療としては臨床試験中で未承認の抗体カクテルもだ。三つが同時にコロナ治療で使われるのは前例がなく、「地球上で大統領が唯一の患者」(CNN)。一般の患者ではあり得ない特別対応だった。


トップにもどる AERA記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい