コロナ禍でも電車やホームは混雑が続く。緊急事態宣言中は大幅に減った通勤客も、現状では元の状態に近くなっているところも多い (c)朝日新聞社
コロナ禍でも電車やホームは混雑が続く。緊急事態宣言中は大幅に減った通勤客も、現状では元の状態に近くなっているところも多い (c)朝日新聞社
AERA 2020年10月12日号より
AERA 2020年10月12日号より
AERA 2020年10月12日号より
AERA 2020年10月12日号より

 コロナ禍前、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車で通勤することに疑問を抱かなかった人も多いだろう。だが、今は不安が募る。調査から浮かぶのは働く人たちの感覚の変化。通勤手段や働き方の改革が必要だ。AERA 2020年10月12日号の記事を紹介する。

【鉄道車両内で不安を感じている人が関東よりも多い地域は…】

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 つり革に触れたくない! 換気は大丈夫? コロナ禍の公共交通機関の利用にストレスを感じている人は少なくないはずだ。といっても、完全在宅勤務でない限り、通勤時の電車やバスの利用は避けられない。

 野村総合研究所(NRI)は全都道府県の20~60代の2074人を対象に9月4、5日、公共交通機関の利用に関する意識調査を実施した。わかったのは、特に鉄道利用への不安が強いことだ。

 公共交通機関と駅ビルなど関連施設のうち「不安を感じる場所はどこか」との質問に、41%が「鉄道車両内」(新幹線以外)で不安の程度が大きいと回答。「やや不安」と回答した人も含めると82%に上った。

■マスクなしと大きな声

 鉄道車両内で不安を感じる理由については、「手で触るものが多い」(87%)、「乗客が守るべきルールがわからない、または不足・不徹底」(86%)、「混雑状況が乗車するまでわからない、または混雑緩和が不足・不徹底」(85%)、「消毒が本当にされたのかわからない、または程度が不足・不徹底」(81%)、「換気が本当にされたのかわからない、または程度が不足・不徹底」(80%)が目立つ。マスク着用や座席の一人空けのルールがないこと、消毒や換気が必要なときにムラなく十分に実施されているかに不安があるという。

 また、避けたい乗車状況としては、7割以上が「マスクをしていない人が乗っている」「大きな声で話している人がいる」などの“マナー違反”を挙げ、4割以上が「目の前のつり革に人が立っている」「ボックス席で向かいに人が座っている」などの“対面”を挙げた。

 どのくらいの混雑具合で乗車を避けたいかについては、不安を感じている人の36%が立つ人同士で「肩が触れ合う」「隙間がない」状態のとき、62%が「空席がない、または空席が半数以下」「立っている間隔が2メートル以内」と回答した。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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