AERA 2020年9月21日号より
AERA 2020年9月21日号より

 肩こりだと思っていたら、実は「首こり」だった──。そんな事例もあるという。AERA 2020年9月21日は専門家に原因やエクササイズを聞いた。

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「首こりは肩こりの範疇に含まれがちですが、区別したほうが的確に対処できます」

 こう話す文京学院大学准教授で理学療法士の上田泰久さん(41)は「首こり」の専門家だ。

 僧帽筋(そうぼうきん)や肩甲挙筋(けんこうきょきん)がこり固まり、肩甲骨の周辺に痛みが走るのが「肩こり」。一方、「首こり」は頭蓋骨と首の骨をつなぐ後頭下筋群(こうとうかきんぐん)によって引き起こされるという。上田さんは「首の付け根がこる場合、首こりと見てよい」と言う。

 肩こりの原因となる僧帽筋などは皮膚表面に近いが、首こりの原因となる後頭下筋群は筋肉の深層部にある。表面からもんでもほぐれにくく、肩こり向けのストレッチをしても深層と表層の筋肉が同時に動いてしまうため、後頭下筋群を緩めるのは難しい。そのため、首こりには専用のエクササイズが必要だ。

 仰向けに寝て、人さし指と中指をそろえて首の後ろ、中指が頭蓋骨の下端に触れる所に置く。これが基本の位置だ。第1段階は、人さし指に触れる筋肉が動くのを意識しながら、3秒かけて頭をゆっくり20度右へ傾ける。3秒かけて中央に戻し、左側も同様に。この動作を5往復。指を外してさらに15往復繰り返す。

 指を基本位置に戻して、第2段階は中指に触れる筋肉の動きを意識しつつ、3秒であごを20度上げ、3秒で戻す動作を5往復、手を外して15往復。第3段階は、顔を天井に向けたまま頭を枕に押しつけ3秒キープした後、力をフッと抜く動作を5回繰り返す。最後はあごをゆっくり3秒かけていっぱいに引き、首の前側を縮める。3秒かけて戻し、この動作を10往復繰り返す。いずれもポイントは「ゆっくり」と「反復」だ。

「深層の後頭下筋群は微細な動きで反応し、筋肉はゆっくりした動きで緩みます。そのため、筋肉の位置と小さな動きを感じながら、柔軟性を引き出すケアが不可欠です」(上田さん)

(編集部・渡辺豪)

AERA 2020年9月21日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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