今年1月、センター試験開始を待つ受験生たち。31回目となった今年でセンター試験は最後となり、来年から大学入学共通テストが始まる (c)朝日新聞社
今年1月、センター試験開始を待つ受験生たち。31回目となった今年でセンター試験は最後となり、来年から大学入学共通テストが始まる (c)朝日新聞社
AERA 2020年8月3日号より
AERA 2020年8月3日号より
AERA 2020年8月3日号より
AERA 2020年8月3日号より
AERA 2020年8月3日号より
AERA 2020年8月3日号より

 初の共通テストとコロナ禍というダブルショックに見舞われた受験生に「天王山」の夏がやってきた。ポストコロナ社会も見据えた新たなトレンドと注目の大学・学部を受験エキスパート5人に聞いた。AERA 2020年8月3日号は「コロナ禍の大学入試」を特集。

【学部系統別志願者数の推移とエキスパートによる21年度の予想はこちら】

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 7月初旬、日本経済新聞に出た全面広告が受験関係者の目を引いた。広告主は岡山大学。特大サイズの文字でアピールしたのは、2021年4月の新生「工学部」の誕生だ。1960年以来の歴史を持つ工学部と94年に新設した環境理工学部を再編して生まれる新生工学部は、中国四国地域で最大規模となる(現在、設置申請中)。

 新聞の全国版に多額の費用をかけて国立大学が全面広告を出すのは異例だが、同大の菅誠治副学長によれば、コロナ禍でオープンキャンパスも開けない中、なんとか周知したいと決断したという。

「今回の改組にはそれだけ大きな意味があるのです」(菅副学長)

 大学入試改革初年度となる21年度入試(21年度入学者の選抜試験)に向け、学部の再編や入試形式の変更が目白押しだ。ここ数カ月、コロナ禍での入試日程の変更に焦点が当たってきたが、来年度以降の受験を考える上で、これら大学側の変革も見逃せない。

 大学の背中を押すのは、AI(人工知能)などテクノロジーの進化による社会構造の急激な変化だ。コロナ禍で変化はさらに10年前倒しになったとも言われる。また、18歳人口の減少で大学志願者数は20年度以降も減少が続き、学生獲得競争が激化するのは必至だ。

 これらを踏まえてアエラでは今回、5人の専門家にポストコロナ時代の大学受験の行方を占ってもらった。

 最初に、過去5年のトレンドを振り返っておこう。大学通信のデータを基に、学部系統別の志願者数が前年比でどのように増減したかをまとめた。調査対象は主要な私立大学約100校。私大に絞ったのは、伝統的な大括りの学部体系を維持する国立大に比べ、私大は学部がバラエティーに富み、トレンドを読み取りやすいためだ。なお、獣医や芸術、宗教は、学部や募集人数そのものが少ないため、増減率が大きくブレる傾向にある。

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