叡啓大は単科大で「ソーシャルシステムデザイン学部」を設置。新大学設置準備センターの夏目啓一室長は、「入学者選抜とカリキュラムのいずれにおいても、チャレンジングな取り組みをしている」と胸を張る。

 入試では定員100人のうち50人を総合型選抜(旧AO入試)、20人を学校推薦型選抜(旧推薦入試)で選び、一般選抜はわずか10人。20人は留学生だ。

 英語力強化と留学生を受け入れやすくするため、講義は同じ科目を日本語と英語で開講。卒業に必要な単位の半分を英語で履修することを義務づける。リベラルアーツ教育に力を入れるほか、グローバルな舞台で活躍できる「実践力」の養成も重視。2年次から小グループに分かれ、地域の企業やNPOなどと連携しながら、さまざまな課題解決に取り組むという。

 一方の神田外語大のGLA学部は定員が60人。少人数にしたのは対話を重視し、クリティカルシンキングを深めるためだ。入学後の半年間を学ぶ目的を明確にする「導入期間」と位置づけ、3週間の「海外スタディ・ツアー」を組む。行き先はインド、リトアニア、マレーシア、エルサレムから選ぶ。

「あえて入学直後の留学では行かないような国・地域を選びました。日本とは全く異なる歴史、文化に触れて、人生観を変え、学びのモチベーションにしてほしい」(金口恭久副学長)

 ツアーはコロナで来年に関しては不透明だが、オンラインを駆使して現地の大学と連携し、いずれ必ず現地に行くという。

 コロナ不況で就職が厳しくなると予想される中、今年の受験生は大学の「就職力」も気になることだろう。小林さん、富沢さんが「就職に強い」として名前を挙げたのは、会津大、電気通信大、金沢工業大、福岡工業大など。

「コンピューター理工学に特化した会津大は、教員と産業界とのパイプが太く、極めて就職率が高いので、不況期には特に注目されそう」(小林さん)

 他に就職で強みを発揮しそうなのはやはり情報・メディア。石原さんは東京工科大のメディア学部や目白大メディア学部などの人気を予想する。いずれもコンテンツ制作やその基礎となるICT技術、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)を学べる科目が充実している。

「映像クリエイター系の勉強をしておくと、どんな分野でも引く手あまた。難関大でそうしたプログラムがあるのは立命館大の映像学部くらいだが、今後MARCHクラスでも開設する大学が増えるかもしれない」(石原さん)

 専門家が人気上昇を予想するもう一つの分野は農業系だ。

「農は不況になると人気が上がる。大手企業は採用人数が少なく狭き門だが、地域には中小の食品会社が必ずあり、就職口にあまり困らない」(安田さん)

(編集部・石臥薫子、ライター・柿崎明子)

AERA 2020年8月3日号より抜粋