かけ声倒れの「特定技能」 活用低迷に加え中間搾取排除も転職の自由も骨抜き (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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かけ声倒れの「特定技能」 活用低迷に加え中間搾取排除も転職の自由も骨抜き

澤田晃宏AERA
特定技能の外国人労働者を管理する人材を育てる新洋国際専門学校の入学式はベトナム、ネパール出身の学生が目立った。参加者の大半がマスクをしていた/さいたま市(撮影/澤田晃宏)

特定技能の外国人労働者を管理する人材を育てる新洋国際専門学校の入学式はベトナム、ネパール出身の学生が目立った。参加者の大半がマスクをしていた/さいたま市(撮影/澤田晃宏)

「政府は5年で約35万人の特定技能外国人の受け入れを見込んでいます。その生活支援を受け入れ企業にだけ求めるには限界があり、支援業務を受託できる登録支援機関が担う役割は大きい。通訳だけではなく、入管業務などに精通した人材の需要が増えていくと考えられます」

 ただ、その特定技能外国人の受け入れが進まない。政府は初年度だけで3万2800~4万7550人の受け入れを見込んでいたが、制度開始から約1年たった20年2月末時点で、日本に在留する特定技能外国人は2994人(速報値)だ。想定に遠く及ばない理由には、海外での試験実施体制が整わなかったことや、前出のように期限付きビザに人気が集まらなかったことなどが挙げられるが、議論すべき点はほかにもある。

 3月27日、ベトナム政府は特定技能での海外派遣に関するガイドラインを発表した。ベトナムは制度本来の理念とは裏腹に単純労働の受け皿となっている「技能実習制度」で全体の53%を占める最大の送り出し国で、特定技能でも期待は大きい。

 現状の技能実習制度では、実習生は送り出し機関やブローカーなどに手数料や教育費などの項目で合計100万円近いお金を払い、来日している。多額の借金を背負う者も少なくなく、それが失踪者増加の原因にもなっている。そのため、特定技能ではこれらの仲介機関を置かず、日本企業が直接労働者を採用することで、中間搾取を排除するはずだった。

 ところが、ベトナム政府のガイドラインによれば、特定技能でも技能実習制度と同様に送り出し機関を通すことになっている。舞台裏を知るベトナムの送り出し機関幹部はこう説明する。

「ベトナムに限らず、途上国では人材の送り出しが外貨獲得の大きなビジネスだ。人材は商品であって、日本企業にただで売り渡すなんてことはできない。最終的に送り出し機関を通す形で日本サイドも納得したが、ガイドラインの発表までに時間がかかったのは、そのためだ」


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