中島:僕は一つ一つのシーンの動きや台詞など、細かいところに注目しがちなのですが、織田さんは常に全体を見られていますよね。撮影中も「ここではこうなっているから、その前のお芝居はこうしよう」と仰っていて。そうした姿勢は、ほかの現場でも生かしていけたらと思います。

 リーガルドラマらしく専門用語も多く、台詞量も膨大。二人はどんな点に苦労し、どう乗り越えているのか。

中島:シーズン1の撮影時は、佳境になればなるほど睡眠時間は減るけれど台詞の量は変わらない、それどころか追加されていくこともあったので、ほかの仕事をしながらこなすのはなかなか大変でした。ですが、今回は少しだけ自信がついたこともあり、長い台詞でもその長さを意識せずに口にできるようになった気がします。

 大輔は一度目にしたものはすべて記憶できるという能力を持ったキャラクターなので、台詞を言っている自分自身が楽しみたいな、と。「中島君と言えば、スーツだよね」と視聴者の方に思ってもらえるようになりたいですね。

織田:おじさんも、そういう経験たくさんしてきた(笑)。僕の場合、台本を読んで「このドラマの何話のエピソードはあの作品を思い出すな」というふうに、経験のなかにある引き出しに置き換えて考えることができるんですよ。

 僕はいわゆる社会人経験があるわけでもなく、ずっと役者としてやってきて、なぜこの年まで生きてこられたのか。それは台本や現場から学んできたことがすごく多いから。こういう立場の人はこんなふうに考えるのか。“人の痛み”とはこういうものなのか。「ああ、なるほど」と、すべて作品が教えてくれた。だから、新しいドラマに出合うたびに「今回はなにを教えてもらえるのだろう」と楽しみで仕方がないんです。

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2020年4月20日号