織田:基本的に、中島君はしっかりした長男タイプで、僕は甘えん坊の次男タイプ。でも通ってきた道という意味ではそんなに違いはない。先に経験してきた立場からすると、「これからの人生、色々なことがあるよ」と思うことはありますよ。でも、中島君の人生だから、それを口に出して伝えたりはしない。自分で体験してみなければわからないこともたくさんあるしね。

 僕は撮影の現場ではずっと役柄のままでいたい、と思っていて。僕ら二人の関係は「甲斐」と「大輔」でいいかな、と。その方がきっと作品のためになる。僕らは作品を生むために現場に来ているわけだから、プライベートは知らなくていいし、気持ちのいい作品になれば、みんな自然とうれしいしね。

 汚職疑惑、冤罪事件……。「SUITS/スーツ」では、日常ではなかなか遭遇することのない事件や接することのない人々との物語が紡がれている。

中島:世の中で問題になっていることを、遠回しではありますが扱っている作品なので、そこに向き合いたいという気持ちはあります。ただ「ドラマ」ではあるので、リアルにこだわりすぎる必要もないのかな、とも。デフォルメしたほうがリアルに見える、ということもあると思っています。

 僕が演じる大輔は、経歴詐称をして弁護士になったので、そもそも設定自体が特殊とも言えますし。

織田:そう、伝えたいことが伝わればいいんだよな。ドキュメンタリーをつくっているわけではないから、伝えたいことを伝えるための道具として物語がある。なにをメッセージにするかが大切だよね。

 僕は二人の成長物語として捉えている。この作品は一見「かっこいい」「スタイリッシュ」という部分を前面に出していると思われるかもしれないけれど、実はすごく真面目な大人たちが、楽しみながら頭を使ってつくった作品なんです。根底には「仕事とは?」「大人のマナーとは?」といったメッセージがある。そこを大切にしていきたい。言わんとしていることを、会話のキャッチボールを通して、説教臭くなく伝えられるのが「SUITS/スーツ」の魅力だから。

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