ではなぜこんなにも多くの「あやかり鯛」がいるのでしょうか?

 詳しいことはわかりませんが、鯛は昔から日本人にはなじみが深く、そのあざやかな色合い、姿かたちから、めでたい魚、魚の王様として特別な存在でした。そして、形が似ている、色が似ているなどいろんな理由で、皆がよく知っている鯛にあやかった名前をつけてきたのではないでしょうか。

 味についても、真鯛は魚の王様にふさわしいおいしさですが、実は「あやかり鯛」の中には、本家の真鯛よりも高級でおいしい魚もいます。

 例えば、アマダイは京都ではグジと呼ばれ、ほんのりと甘みのある上品な味で、高級料亭くらいでしかお目にかかれない高級魚です。またキンメダイも、煮物にすると非常に美味で人気のある魚ですよね。

 マトウダイは、馬の頭のような顔つき(馬頭)や、弓道の的(まと)のような模様が呼び名の由来と言われていますが、その奇妙な見た目にもかかわらず、その身はコクとうまみがある上品な白身で、フランス料理ではムニエルやフライにするととてもおいしくて人気の高級魚なんです。

 余談ですが、我々の名前でも、昔から有名人にあやかった名前は人気ですよね。

 例えば、現在中学生の男の子には、「拓」の文字を使ったり、「タクヤ」という名前の方が多かったり、女性では、1980年代から1990年代生まれの方には、「愛」という漢字や「アイ」という読みの方が多いのではないでしょうか。

 前者はいうまでもなく、「木村拓哉」さんにあやかった名前で、後者は(少々古い話で恐縮ですが…)、1978年に公開されて大ヒットした映画「愛と誠」にあやかったものと思われます。特に「愛ちゃん」の人気はすさまじく、1978年から20年間、女の子の名前の人気ベスト10にとどまっていました。

 ちなみに、昭和の文豪・谷崎潤一郎は、桜鯛の薄造りが大好物だったそうです。くら寿司でもこの季節には、「桜鯛」のお寿司を、期間限定で楽しんでいただけます(販売期間については、HP等でご確認ください)。

 お持ち帰りもできますので、ご家庭でも旬の味をお楽しみいただけます。

AERAオンライン限定記事

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長

著者プロフィールを見る
岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

岡本浩之の記事一覧はこちら