春の風物詩、桜鯛の握り寿司
春の風物詩、桜鯛の握り寿司

 東京では先週末に季節外れの雪が降り、満開の桜に雪という不思議な光景が見られたようですね。私が住む関西でもそろそろ満開という声が聞こえそうです。

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 今年はお花見をゆっくり楽しむというわけにはいきませんが、この季節になるとスーパーやお寿司屋さんには、桜鯛という素敵な名前の魚が出回ります。1年前にも書きましたが、桜鯛とは春の産卵期に取れる真鯛のことです。産卵に向けて餌をたっぷり食べて脂の乗った桜鯛は、ほんのり桜色に染まった魚体も含めて、まさに魚の王様の名にふさわしい姿とおいしさです。

 突然ですが、ここでクイズです。

 アマダイ、イシダイ、ブダイ、クロダイ、イトヨリダイ、コロダイ、キンメダイ、マトウダイ、スズメダイ、コショウダイ。

 これら10種類の「タイ」の中で、ひとつだけ仲間外れのタイがいます。それはどのタイかわかりますか?

 ちょっとマニアックな問題なので、「聞いたこともない名前ばっかりやん……」と思われる方も多いと思いますが、これがわかる方は、かなりの魚マニアですね。

 答えは、クロダイです。

「あぁ、クロダイは鯛の仲間じゃないのか」と思ったあなた。残念。逆です。

 実は、10種類の魚の中で、クロダイだけが正式な真鯛の仲間(スズキ目スズキ亜目タイ科)なんです。

 他のタイはすべて「あやかり鯛」と言われるもので、正式には真鯛の仲間ではありません。日本近海で取れるさまざまな魚の中で、正式に真鯛の仲間と呼べるのは、真鯛の他には、クロダイやチダイ、へダイなど合わせて13種類だけです。

 逆に「あやかり鯛」は、日本に200種類以上いると言われています。「あやかり鯛」の方がはるかに多いのです。

 例えば先ほどあげた魚たちについては、ブダイはベラの仲間で、コロダイとコショウダイはイサキの仲間です。その他のイシダイ、アマダイ、イトヨリダイ、キンメダイ、スズメダイ、マトウダイはそれぞれ、イシダイ科、アマダイ科のように、独自の名前がついた独立した種類です。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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こんなに多くの「あやかり鯛」がいる理由は?