狙った地点に人工クレーターをつくり、最大精度60センチのピンポイントで2度にわたり着陸、地下サンプルまで得たとされるはやぶさ2に対し、オシリス・レックスは可能な限り小惑星に接近させた探査機からロボットアームを伸ばして地表に接地し、サンプルを採取する。

 宇宙開発は競争から協調の時代に突入している。各国が協力し、まずは月や火星の滞在型有人探査を目指して深宇宙開拓を本格化させる。「宇宙世紀」の幕開けとも言える壮大な計画の中で、はやぶさ2が実証したピンポイント着陸技術は大いに役立つと期待されている。

 はやぶさ2が2月22日に成功させたリュウグウへの最初のピンポイント着陸の成功を受け、JAXA宇宙科学研究所の久保田孝教授は、3月に東京であった講演で、こう強調した。

「得意な技術を生かした国際協力をしていこうと考えている。はやぶさ2や、その前のはやぶさで得た知見を生かし、月面でも狙ったところにピンポイントで降りられるような重力天体着陸技術に応用したい」

(朝日新聞GLOBE編集部・山本大輔)

AERA 2019年12月2日号より抜粋