還元率は中小の小売店が税込み価格の5%、コンビニやガソリンスタンドなど大手チェーンのフランチャイズ(FC)店は2%の2種類。千円の商品を税込み1100円で買うと、中小業者なら55円が、大手FCなら22円がポイントとして還元される。軽減税率の主眼が消費者なのに対し、ポイント還元は体力の弱い中小業者への配慮が色濃い。原資は政府の増税対策予算、つまり税金である。

 ポイント還元制度に参加できる業者は全国で200万と見積もられた。しかし、実際に10月の制度スタートに間に合うよう9月6日までに経済産業省に申請したのは約60万と3割程度にとどまる。この制度が来年6月までの短期間であること、キャッシュレス対応レジの導入コストがネックになった模様だ。

Q3:世界の「消費税」は何%
日本の消費税高いのか安いのか

 最後に豆知識。日本の消費税とほぼ同じ仕組みの「付加価値税」を課す国・地域は世界で150を超えている(19年1月現在)。

 税率が25%と高いのはデンマークやスウェーデン、ノルウェーなど。高福祉の裏付けとして高い税負担が課されている。欧州は20%付近に集中し、財政難が深刻なイタリアは22%。経済大国ドイツは19%、イギリスは20%だが、リーマン・ショック直後の08年12月には景気対策として一時15%に引き下げたことがある。

 一方、日本の周辺では台湾が5%、タイとシンガポールが7%、韓国が10%など。アジア主要国で最も高い中国でも16%と、欧州より低い水準だ。

 マレーシアは15年に導入した消費税(物品・サービス税)の税率を昨年6月に6%から0%に引き下げ、その後に消費税廃止法を可決した。ただ、これでは国の税収に穴が開くため、同9月から売り上げ・サービス税を復活させた。無税だった3カ月間は消費が活発化したが、9月以降は反動減が表れた。長期的にみた家計や企業活動、国家財政への影響は結局のところ未知数だ。(経済ジャーナリスト・大場宏明、編集部・中島晶子)

AERA 2019年10月7日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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