1997年4月、税率5%への引き上げ時は韓国やタイの通貨危機もあり日本中が大不況に。スーパーでは消費税還元セールが繰り返された (c)朝日新聞社
1997年4月、税率5%への引き上げ時は韓国やタイの通貨危機もあり日本中が大不況に。スーパーでは消費税還元セールが繰り返された (c)朝日新聞社
2014年4月の税率8%への引き上げ時は駆け込み買いの激化による深刻な消費低迷に見舞われた。この教訓から政府も知恵を絞ったわけだが…… (c)朝日新聞社
2014年4月の税率8%への引き上げ時は駆け込み買いの激化による深刻な消費低迷に見舞われた。この教訓から政府も知恵を絞ったわけだが…… (c)朝日新聞社

 消費税が10%になった。2%上がることで負担額がどれだけ増える? 経済産業省のポイント還元でいくら返ってくる? 本稿ではそんな消費税アップの疑問を解消! AERA 2019年10月7日号に掲載された記事を紹介する。

【写真】2014年4月の税率8%への引き上げ時は深刻な消費低迷に見舞われた

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Q1:増税による負担増は
2%アップでどのぐらい苦しくなるの

「19年度は10月以降の半年分で約2万円、20年度は約4万円が、1世帯当たりのおおよその負担増になります」

 消費税率アップの影響について、第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストはこう試算する。今回の増税により、国民全体では年換算5.7兆円の負担増に。一方、政府は幼児教育無償化などの恒久的な措置とキャッシュレス決済を通じたポイント還元、プレミアム付き商品券などの時限措置を組み合わせた経済対策を増税とセットで発動し、家計負担は最終的に年2.1兆円に圧縮される。

 ただし“サービス分”はいずれ終わる。額面の25%増しで買い物できる「プレミアム付き商品券」は対象者が子育て世帯と住民税非課税世帯の2450万人と多いが、期限は来年3月まで。6月にはキャッシュレス決済のポイント還元も終わる。家を購入して入居すると年収450万円以下で最大50万円もらえる「すまい給付金」の拡充措置も21年で打ち切り。

 この結果、21年度には1世帯につき4.4万円、22年度には4.7万円と、少しずつ家計の負担が重くなっていく。

「政府の増税対策メニューは豊富ですが、負担のすべてをカバーするものではありません。負担が増えた分だけ実質所得が減るので、個人消費の下押し圧力が生じます」(星野さん)

 家計は少しも楽にならない。

Q2:ポイント還元制度とは
どうやったらいくらが返ってくる?

 10月1日、政府は消費税率アップによる消費の冷え込みを防ぐため、ポイントによる還元制度を新設する。還元の対象はキャッシュレス決済のみ。クレジットカードやデビットカード、スマートフォンのQRコード決済などが該当し、現金取引は対象外だ。国策であるキャッシュレス化の加速と増税対策の一石二鳥を狙った施策といえる。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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