「子どもの教育費に2千万円必要などと言われますが、要は人件費です。自分や仲間で済ませられるならそれでいい。僕は塾の経営もしていましたが、結局教育って、子どもが周りの知力に対してどれだけ憧れを持つかが大事。今日来てくれている彼らはそれぞれ専門性も高い。家庭教師だと思ったらすごいメンバーですよ」
参加する友人たちも、「自分は一人っ子。子どもが好きだから楽しい」(女子高生)、「おいしいとこどりしながら、子育ての練習をさせてもらってる感じ」(サラリーマンの男性)などと楽しんでいる。
他人を子育てに巻き込む仕組みとして、こんなサービスもある。
「家族留学」はmanmaが運営するサービスで、若者を子育て家庭に1日留学させる、いわば家庭版OB・OG訪問。子育てのリアルを知ってもらい、自らのライフキャリアを考えるきっかけにしてもらう目的だが、受け入れる家庭にとっては家に他者を招き入れる機会になる。
都内で働く舟山舞さんは小学生の娘が二人いる。これまでに4回、「家族留学」で大学生を受け入れたほか、普段から大学生のベビーシッターもよく利用している。
家を訪れる学生たちには、今までどんなことをしてきたのか、どんな悩みがあるのか、などを娘たちに話してみてほしいと伝えている。子どもたちに、いろんな選択肢を受け入れてほしいと考えるからだ。
「特別深い話をするわけじゃなくても、学生って勉強だけじゃなくてアルバイトもするんだなとか、海外旅行にも行くんだなとか、単純にいろんな人がいるということを娘たちは実感として理解し始めていると思うんです」
舟山さんは、学生からの報告を読んで、忙しい日々に追われて気づけなかった子どもの小さな成長に気づくこともあるという。(編集部・高橋有紀)
※AERA 2019年9月30日号より抜粋