えらいてんちょうさん(父、左)/2歳の長男(前左)と遊ぶ友人たち。ツイッターで「今週末、誰か来ませんか?」と呼びかけるとあっという間に仲間が集まる。「親は子どもの世界の一隣人でしかない」が子育ての基本姿勢[撮影/編集部・高橋有紀]
えらいてんちょうさん(父、左)/2歳の長男(前左)と遊ぶ友人たち。ツイッターで「今週末、誰か来ませんか?」と呼びかけるとあっという間に仲間が集まる。「親は子どもの世界の一隣人でしかない」が子育ての基本姿勢[撮影/編集部・高橋有紀]
舟山舞さん(母、中央)/左から父、小2次女、母、小6長女。一番右は、「家族留学」していた山本亜樹さん。「家族を超えて、つながりが広がるのが家族留学の魅力」と、manma代表の新居日南恵さんは語る(撮影/舟山さん提供)
舟山舞さん(母、中央)/左から父、小2次女、母、小6長女。一番右は、「家族留学」していた山本亜樹さん。「家族を超えて、つながりが広がるのが家族留学の魅力」と、manma代表の新居日南恵さんは語る(撮影/舟山さん提供)

 子どもの“好き”を伸ばしてあげたい。でも、親が価値観を押し付けたりしてはダメ。ではどうしたらいいのか。「他人」をどんどん巻き込むことが大事なのです。AERA 2019年9月30日号に掲載された記事を紹介します。

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 核家族化が進み、現代の子育ては親子だけに集約されがち。特に中学受験は、「親子二人三脚で」などと言われ、濃密な親子関係で息苦しくなっている子どもたちも多い。だが、親だけではなく「他人巻き込み型」で子育てすることでこそ、子どもは伸びる。それを実践している人たちがいる。

 起業家で作家のえらいてんちょう(通称えらてん)さん(28)もそんな一人だ。7月に刊行した著書『しょぼ婚のすすめ』で、独自の結婚・育児論を展開している。

 8月のある日曜日、えらてんさんの自宅にうかがった。玄関を開けるとそこにはご夫婦と2歳、0歳の子どもの家族以外に、友人たちが6人。聞けば、土日は大体いつもこんな感じで集まっているらしい。この日のメンバーは、えらてんさんが家庭教師をしている女子高生に、大学講師、弁護士、高専生、サラリーマン、大学生。

 えらてんさんは著書の中でこの集まりを「しょぼいホームパーティー」と呼んで推奨している。

「まず第一に、子守って大変なんです。寝かせたくても寝てくれない。食べさせたくても食べてくれない。裏を返せば自分が寝たいときに寝られない、食べたいときに食べられない。それが続くと子どもにもつらくあたってしまう。どうしようかなと思ったときに、いろんな人を家に呼んじゃえと思いつきました」

 子どもがいる人を呼ぶこともあるし、いない人を呼ぶこともある。何かを手伝ってくれるわけでなくても、「いてくれるだけでストレスが緩和される」のだという。子どもの才能を伸ばそうと考える前に、親がストレスフリーで心から楽しんで子どもと向きあえることが一番大事だという。

 そして、こういった環境こそが子どもにとってプラスになると信じている。

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