たとえば脂質の多い食事をすると、消化・吸収を助けるために胆汁などの消化液が腸内に分泌され、腸内細菌の種類や数が減り、腸内環境が乱れる。腸と体の間にある防御機能も低下し、体内に腸内細菌が入り込み、インスリンの効きを悪くしてしまうことがわかってきた。同じように、食品添加物として使われる乳化剤や人工甘味料も、人によっては腸内細菌の数や種類を減少させ、腸内環境を悪化させることが報告されている。

 満腹感を増す腸管ホルモンを出すなどして肥満を防ぐ効果のある「短鎖脂肪酸」も腸内細菌によってつくられる。短鎖脂肪酸は酢酸、酪酸、プロピオン酸など、いわゆる「酢」のことだが、酢を飲めばいいわけではない。

「口から入る酢は多くが胃で吸収され、腸管ホルモンがつくられる腸の奥までは十分に届きません。腸内細菌に、たくさん短鎖脂肪酸をつくらせる必要があります」(入江医師)

 肥満体質の人の腸内細菌には短鎖脂肪酸を作る腸内細菌が少ないというが、短鎖脂肪酸は根菜類、豆類、きのこ類、海藻類などの食物繊維を多く取ると増やすことができる。
(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年7月8日号