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地方なら1人辞めれば丸ごと閉鎖する科も…救急医の一斉退職問題が深刻化

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小田健司AERA
救急診療科・集中治療部の6人の医師が一斉に辞めることになった、滋賀県大津市の市立大津市民病院 (c)朝日新聞社

救急診療科・集中治療部の6人の医師が一斉に辞めることになった、滋賀県大津市の市立大津市民病院 (c)朝日新聞社

 今回の大津市民病院の一斉退職について、同病院での実習経験がある医師によると、専攻医たちが辞める理由については、院内でこう見られているという。

「指導医がいなくなれば、専門医の認定が受けられなくなるからではないか」

 大津市民病院は日本救急医学会の専門医指定施設、日本集中治療医学会の専門医研修施設になっている。ここで指導医の指導を受け経験を積めば、専攻医は専門医への道が開けるというわけだ。指導医の存在こそが、専攻医にとっては魅力だった可能性はある。

 前出の医師は、医療現場全体の問題として、長時間労働やストレスフルな職場環境があると指摘し、一斉退職の大きな背景になっていると語る。

「東京をはじめ大都市に医者が集中する状況が根本的に変わらなければ、医師が厳しい労働環境下にある医療の現場でこうした問題はどこにでも起こり得る。地方なら、1人、2人が辞めただけで科が丸ごと閉鎖されることだってある」

 地域医療の問題に詳しい城西大学経営学部の伊関友伸教授は、「少し時間が経過して、忘れられているのではないか」とあらためて問題提起する。

 十数年前には、各地の公的な総合病院を中心に医師が大量退職することが相次ぎ、地方の「医療崩壊」が大きな社会問題となった。

「一般的に、過酷な勤務や医師の働きがいに配慮しない病院が舞台になっているケースが多かった」

 と伊関教授は言う。そのうえで、人材を確保するために必要なこととして、こう指摘した。
「研修機能が充実した病院に若い医師は集まる。そうした体制づくりを地域全体でどう作っていくのか、真剣に考えるべきだ」

(編集部・小田健司)

AERA 2019年6月24日号


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