「人生100年時代を迎えて、保険が病気や亡くなった時の支えとしてだけでなく、お客様に健康で長生きしていただくために、未病・予防にも役に立てればと考えました」

 同社企画部商品開発グループ課長の橋本直樹さんは、商品開発の経緯を話す。日々の生活習慣や行動によってキャッシュバックがされる医療保険は「日本初」だという。

 仕組みは簡単。歩数を計測できるウェアラブル端末等と専用のスマホアプリで歩数を記録するだけ。6カ月ごとに1日の平均歩数を計算し、8千歩を上回った期間(6カ月)の数に応じて2年後に最大月額保険料の概ね1~2カ月分が戻ってくる。

 例えば、30歳男性が入院1日当たり1万円の保険金が出る契約をすると、保険料は月2950円だが、すべての計測単位期間で目標を達成すると2年後に2400円がキャッシュバックされる。20歳から56歳まで加入でき、健康診断の提出も不要だ。手軽さもあってか、「毎日意識して歩くようになりました」といった声が届いているという。

 こうした動きは全国の自治体にも広がっている。

 横浜市が14年から始めた「よこはまウォーキングポイント」では、商店街など1千カ所に置かれた読み取りリーダーで歩数を記録。3カ月に1度行われる定期抽選と1年に1回のWチャンス抽選では、当選者に商品券等をプレゼントするなどお得感満載だ。

「健康づくりに関心はあるものの、なかなか取り組めていない方々への日々の運動習慣づくりを後押しする取り組みとして本事業を開始しました」(横浜市)

 お得に楽しく一挙両得。スキマ時間を上手に使い、ハッピーなウォーキングを楽しみたい。(編集部・野村昌二)

AERA 2019年5月27日号より抜粋

著者プロフィールを見る
野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

野村昌二の記事一覧はこちら