発達障害児支援教育施設が入る予定のビル。6月の開所を目指している/東京都渋谷区代々木(撮影/写真部・小黒冴夏)
発達障害児支援教育施設が入る予定のビル。6月の開所を目指している/東京都渋谷区代々木(撮影/写真部・小黒冴夏)

 代ゼミが新たな教室を立ち上げる。といっても、通うのは受験生ではない。かつて無かった発達障害児向けの教育に進出する狙いは、どこにあるのだろうか。

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 3大予備校の一つとして知られる代々木ゼミナール(代ゼミ)が、発達障害児支援教育に参入することが関係者への取材で明らかになった。東京都渋谷区代々木のビル内に、児童福祉法に基づく施設を6月に開設する方向で東京都に申請中だ。

 発達障害児は症状や診断名が幅広く、知的な遅れはなかったり、何らかの分野に秀でた才能を持っていたりする場合も多い。未就学児教育のノウハウがあり、グループ内に難関校受験などの機能も持つ代ゼミによる施設運営は、障害児を抱える親から歓迎の声も上がりそうだ。

 ただ、医師や看護師の確保など、これまでの代ゼミのグループの教育施設とは異なる準備も必要となる。私立の発達障害児向け教育施設自体がまだ珍しく、開設までの調整が難航する可能性もありそうだ。

 計画を打ち出したのは、サピックス代ゼミグループの共同代表で、学校法人高宮学園代々木ゼミナールの副理事長も務める高宮敏郎氏。

 高宮氏が4月1日付で関係者に配布した資料によると、まず同グループ傘下で中高生向け進学塾サピックスの運営に携わる「株式会社日本入試センター」に、「発達支援サービス課」を新設。同課の運営で、発達障害児の教育支援や放課後デイサービスなどを行う施設「あそびや」をオープンさせる計画だ。

 あそびやでの具体的な教育や支援の内容は現在調整中だが、関係者は「障害の程度や内容にもよるが、従来の発達障害者支援センターと同様に、保育士らがグループ教育で発語の指導などを行うのではないか」と話している。

 児童福祉法に基づいて都から認可を受けられた場合、利用者は施設利用料の1割を負担すればよいとみられる。現在、医師や看護師、臨床心理士や理学療法士を募集するなど、認可施設として開所するための準備が進められている。

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