「沖縄を日本の中のアジアのフロントランナーに」と訴える玉城デニー知事。背後の屏風には、沖縄が「世界を結ぶ懸け橋」になる気概が記されている(撮影/大城弘明)
「沖縄を日本の中のアジアのフロントランナーに」と訴える玉城デニー知事。背後の屏風には、沖縄が「世界を結ぶ懸け橋」になる気概が記されている(撮影/大城弘明)
辺野古沖では、県民投票後も土砂投入が続いている=2019年2月25日、沖縄県名護市 (c)朝日新聞社
辺野古沖では、県民投票後も土砂投入が続いている=2019年2月25日、沖縄県名護市 (c)朝日新聞社

 県民投票で7割が辺野古埋め立て「反対」の意思を示した沖縄県。玉城デニー知事がアエラに、安倍政権に求めることなどを語った。

【写真】辺野古沖では、県民投票後も土砂投入が続いている

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 沖縄県名護市辺野古沿岸部の埋め立ての是非を問う県民投票で7割を超える「反対」の民意が示された。その3日後の2月27日夜、玉城デニー沖縄県知事がアエラの単独インタビューに応じた。玉城知事は1時間超にわたり政権への不信や沖縄の将来について熱く語った。

「全県での県民投票が危ぶまれた中、多くの方が投票できた。反対票は私が知事選で獲得させていただいた票数をはるかに超えた。ウチナーンチュの思いがしっかり出た結果だと思います」

 玉城知事はまず、投票率52.48%、埋め立て反対72.15%という数字をこう総括した。

 地元紙などの出口調査では、すべての年代で7割以上が「反対」に投票したという結果も出た。玉城知事は20代、30代よりも10代で「反対」が多かったことにも着目する。

「若者たちが将来を考え、私たちの海を埋め立てられたくないという声を示した勇気は、非常に大きな価値と意義があると思います。これからいろんな場面で力になってくれるでしょう」

 一方で、「賛成」は19.10%、「どちらでもない」が8.75%だった。こうした意思も大事に受け止めるべきだと玉城知事は言う。

「沖縄では基地で働く人も少なくありません。そうした人が身近にいることによる基地との親和性もあります。辺野古に関しては、『いろいろ考えたけど進めたほうがいい』という消極的賛成の方々もいると思います」

 米軍基地をテーマにした沖縄県の県民投票は1996年に続き2度目だ。玉城知事は言う。

「こうした沖縄の複雑な状況こそが、政治の怠慢によって基地問題が解決できていない証左だということを強く言いたい」

「反対」は、全41市町村で最多だった。玉城知事は言う。

「普天間飛行場のある宜野湾市でも、移設先とされる名護市でも反対の票が上回りました。宜野湾市民も決して『辺野古に移せばいい』なんて思っていない。苦しみを押し付けあうことはもうやめようという、心からの反対の票が投じられている」

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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