オール愛知県ロケで撮影され、納屋橋や栄の街並み、長久手古戦場や若松海水浴場も登場する。名古屋グルメも楽しんだようだ。

「天むすやひつまぶし以外にもいろいろ食べましたよ(笑)」

◎「デッドエンドの思い出」
チェ・ヒョンヨン監督の長編デビュー作。2月2日から名古屋先行公開。全国順次公開中。

■もう1本おすすめDVD「白河夜船」

 原作者のよしもとばななが「こんなに完璧な映画化は奇跡的」とコメントを寄せた「白河夜船」(2015)。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した「万引き家族」の演技で世界の女優たちを驚嘆させ、現在は連続テレビ小説「まんぷく」で朝のお茶の間の顔となっている安藤サクラが、既婚男性との恋愛に揺れる女性を演じている。

「白河夜船」とは、熟睡していて何も気づかないことや、それが転じて知ったかぶりを意味する言葉。井浦新演じる男の妻はいわゆる植物状態で、主人公の親友は添い寝屋という仕事をしていたが自死し、安藤演じる主人公は恋人に会うために仕事もせずにひたすら眠っている。眠りという現実と非現実の狭間で、自らの存在の不安定さをかろうじてもちこたえているような、三者三様の女性が描かれる。

 短編小説が原作とあってか、モノローグも多く、存在感の強い安藤の声の演技を堪能できるのも醍醐味。朝ドラもいいが、安藤の次の映画が待ち遠しい。

◎「白河夜船」
発売元:キングレコード/ユマニテ
販売元:キングレコード
価格1900円+税/DVD発売中

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年2月25日号