主な大学の大学入学共通テストに関する対応【国立】(AERA 2019年1月28日号より)
主な大学の大学入学共通テストに関する対応【国立】(AERA 2019年1月28日号より)
主な大学の大学入学共通テストに関する対応【私立】(AERA 2019年1月28日号より)
主な大学の大学入学共通テストに関する対応【私立】(AERA 2019年1月28日号より)

 共通テストをどう利用するか、各大学が次々と方針を表明した。これらの入試改革によって、今後の大学勢力図も変わりそうだ。

【主な大学の大学入学共通テストに関する対応一覧「私立編」はこちら】

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 センター試験に代わる大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の利用を明らかにした早稲田大に対し、全学部で利用しないと表明した慶應義塾大。慶應は1990年度には日本で初めてAO入試を導入するなど、独自の入試制度を設けてきた。

「一般入試と各学部が行う多様な入試によって、優秀な学生を国内外から獲得することができている」(慶應大広報室)

 他大学はどうか。共通テストに対する主な大学の対応を見てみると、国立・公立大は現在すべてがセンター試験を利用しており、そのまま共通テストへ移行すると見られる。だが、共通テストで導入される英語の民間試験については対応が分かれた。目的が違う複数の試験で公平に英語力を測れるのか疑問の声も上がる。民間試験の受験には、試験によって5800円から2万5380円がかかり、経済的に困難な家庭が不利になるとも指摘される。

 こうした課題から、東京大や京都大、名古屋大などの国立大学が相次いで民間試験を必須としない方針を発表した。ただ、出願の際には、英語力の国際基準「CEFR(セファール)」を使ったレベルの証明が必要、などと条件を付けた大学が多い。この基準は「よく使われる日常的表現と基本的言い回しは理解できる」から「聞いたり読んだりしたほぼすべてのものを容易に理解できる」まで6段階に分かれている。高校の調査書などで英語力を確認するとしているが、結局は民間試験を受ける必要が出てくるのではないかとの臆測も広がる。

 一方、同じ国立大学でも福島大や広島大は民間試験の利用を明確に打ち出している。民間試験受験を出願資格とし、各大学が設ける基準を超えれば、英語の試験に加点する方針だ。

 一橋大学の太田浩教授(比較・国際教育学)は国立大学の対応にこう疑問を投げかける。

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