入試が迫っているのに、なかなかやる気になっていない子どももいるだろう。親は心配してつい口うるさく言ってしまいそうだが、安浪さんは「やる気スイッチは本人以外が無理やり押すことはできない」と指摘する。安浪さんは、「勉強しなさい」の言葉より有効なのが、ちょっとした応援で「気分を上げる」ことだという。過去に指導に入ったある家庭では、カレンダーに子どもの好物の献立を書きこんでいた。

「子どもが喜ぶ食事で応援の気持ちを伝えることはとてもいい。親に愛されている、応援されていると実感できれば、やる気スイッチも入りやすくなります」(安浪さん)

 実際に入試が始まり、不合格の結果が届くと、受験はまだ終わっていないのに動揺してしまう親も少なくない。

「合格不合格は、出題問題との相性もあるし、運・不運もあり、不合格だったとしても決してこれまでの努力が無駄だったわけではありません。ご縁がなかったのだと気持ちを切り替えて、子どもには『悔いのないように行っておいで』と送り出してあげてください」(同)

(編集部・深澤友紀)

※AERA 2019年1月21日号