本番で勉強の成果を発揮するために重要なのが食事だ。

『日能研の塾ごはん』の著者で、子ども専用の手作り仕出し弁当店を営むFCN代表、椎名伸江さんは言う。

受験生にとって、食べる時間は唯一休まる時間です。リラックスして体が一番いい状態で食べ物をとり入れてください」

 子どもはゲン担ぎが大好き。例えばいりこは「入る校」、いよかんは「いい予感」、「見通しがいい」れんこんなどは、栄養もあって縁起のいい食材だ。ただ注意が必要だという。

「食べ慣れていることが重要で、受験当日の朝にいきなり煮干しが出てきても苦手な子は食べられず、逆に体の緊張を高めてしまうこともあります。とにかく食べ慣れているもの、バランスのいい食事が大事です」

 受験当日の最善のメニューとは何なのか。

「3時間前に食べるなら糖質は多めで吸収が遅いものがいい。例えば白米よりは玄米の入ったごはん。試験前に空腹を感じるようなら、小さめの一口大のおにぎりなどを持たせてあげて。食べすぎると一気に血糖値が上がってその後一気に下がり、脳が働かなくなってしまうので気をつけてください。1時間前に食べるなら胃に負担がかからないものを。量も控えめに。どちらも共通するのはバランスよく食べること。糖質だけだと一気に血糖値が上がってしまいます」

 この時期おすすめのメニューは、「白菜と豚肉の重ね蒸し」。ビタミンCが豊富な白菜がたっぷりとれて風邪の予防になるうえ、豚肉に含まれるビタミンB1は疲労回復の効果があるという。

 当日の食事では、「奥歯でよく噛んで食べること」を心がけてほしいそう。血行がよくなり、栄養と酸素が脳に供給され、働きが活発になる効果が期待できる。分解酵素の唾液アミラーゼが分泌されて、緊張した胃の働きも助けてくれる。

 女性にとっては試験日に月経が重なると、月経痛に悩まされたり、眠気が強まったりなどパフォーマンスが下がってしまうことも。元日本産科婦人科学会理事長で慶應義塾大学名誉教授の吉村泰典さんはこう言う。

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