平成最後の紅白 サザンオールスターズが世代を超えた真の「国民的バンド」だと納得した瞬間 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

平成最後の紅白 サザンオールスターズが世代を超えた真の「国民的バンド」だと納得した瞬間

このエントリーをはてなブックマークに追加
小貫信昭AERA

平成最後の紅白の最後の最後に、サザンオールスターズの登場という「演出」が待っていた

平成最後の紅白の最後の最後に、サザンオールスターズの登場という「演出」が待っていた

NHKホールの紅白に35年ぶりに響いた桑田佳祐の歌声。ホール全体が、一気に一つになった

NHKホールの紅白に35年ぶりに響いた桑田佳祐の歌声。ホール全体が、一気に一つになった

北島三郎と桑田佳祐という、本当にここでしか見られない組み合わせ。これが、音楽の力なのか

北島三郎と桑田佳祐という、本当にここでしか見られない組み合わせ。これが、音楽の力なのか

ユーミンに石川さゆり、ウッチャンに松田聖子まで。サザンオールスターズの音楽で、誰もが笑顔に

ユーミンに石川さゆり、ウッチャンに松田聖子まで。サザンオールスターズの音楽で、誰もが笑顔に

 冷静沈着な関口和之(63)のベ-スが唸り、ドラムの松田弘(62)がパワ-と弾力を注ぎ込む。そこに野沢秀行(64)のパ-カッションが抑揚を加える。会場が、一気に盛り上がっていく。振り向いたとき、来し方に刻まれているのが“轍”だが、この歌は、まだ見ぬ未来へ続くものとして、それを見せてくれる。桑田の歌も、普段のライブとはまた違った間合いや呼吸を感じさせた。まさに、紅白スペシャル・ヴァ-ジョンであった。

 やがて演奏はサンバのリズムに変わる。

「それではみなさんにとって、来年が素晴らしい年でありますようお祈りしつつ、盛り上がって参りましょう!」

 そんな桑田の言葉とともに始まったのが、「勝手にシンドバッド」だ。実に、40年前の曲である。それなのに、古色蒼然としたところは皆無だ。「今、何時?」「そうねだいたいね」という掛け合いは、何度聴いてもシュ-ルである。しかしそれが、古色蒼然としない秘密。この部分にこそ、その時々の意味合いが、あぶり出しのように浮かんでくるのだ。

 さきほどの応援のお返しとばかり、北島三郎が参加して、桑田とマイクを共にする。紅白でしか観ることができない光景である。ここからさらに、「この日だけの光景」は続いていく。

 すでに歌い終わっていたユーミンこと松任谷由実(64)が、桑田のもとへ近づいて、いきなり頬にキスをする。おそらくリハ-サルにはないアドリブだったろう。情熱的なダンサ-のような“胸さわぎの腰つき”で桑田と絡み、“ララ-ラ-ラララ”のコ-ラスも一緒に歌う。桑田は桑田で、さらに彼女に挑みかかるような仕草をする。それを見守る司会の内村は、驚きと喜びの表情をみせる。

 曲の最後に桑田は、「ユ-ミンありがとね」と彼女をねぎらい、「ウッチャンありがとう」と司会の内村光良(54)を、「翔さん、ライブがんばって」と白組司会の櫻井翔(36)を「桑子さんありがとね」とNHKの桑子真帆アナウンサー(31)を、「すずちゃん最高!」と紅組司会の広瀬すず(20)を、最後の最後に「サブちゃんサスガ!」と大先輩をねぎらって、自分たちの出番を終えたのだった。

 度肝を抜くような紅白仕様の演出があったわけではなかった。それでいてサザンオールスターズは、十分に特別な存在だった。真のイノベーターだけが持ちうる盤石な存在感。サザンオールスターズの出演こそが、平成最後の紅白を特別なものにする最大の「演出」だったのだ。(音楽評論家・小貫信昭)

※AERAオンライン限定記事


トップにもどる AERA記事一覧

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい