ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 先週に続き、税金を無駄に使うな、第2弾。結論から言いますと、役人が新しいビジネスを作り出すことは不可能です。彼らは管理することが仕事であって、新たな仕事を作り出し、利益を生み出した経験が一度もないのに、未来のビジネス(例えばこれからの産業育成や地方再生)を先導しようとするので間違えます。

 役人という学歴エリートが未来のビジネスを作り出し、世界の発展に貢献できるとしたら、今頃ソビエト連邦は世界を支配し、米国はその軍門に下っていたはずです。仮に彼ら役人が我々の100倍優秀であっても、無理なのです。

 結果的に成功した社会主義国は中国です。彼らは稼いでいる民間企業の既得権を政府が体を張って守り、国際的スパイ活動を容認し、やりたいようにやらせて、その上前をはねるというビジネスモデルで大成功しました。自分たち共産党員がビジネスなんかやっても成功するわけがない、と確信をしていたのですね。

 日本は政府(主に財務省、経産省)が強力に主導して高度経済成長を遂げましたが、あれは欧米という見習うべきモデルが目の前にあり、それにいかに早く追いつくか、という競争でした。であるなら、資源を効率的に配分する「社会主義的」政策は有効です。優秀な人材を日本全国から東京に集め、大企業に集中させ、「護送船団方式」で一気に攻めていったのでこれは効率が良かったわけです。 

 しかし、今や時代が全く違う。アップル、アマゾン、マイクロソフトに至るまで、米国の時価総額上位の会社は明日、どうなっているかなんて全く見当もつかない。当事者たちもよくわからない。そこに役人が出てきて成功できるほど甘くない。  

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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