マキタスポーツ「『推し』と『好き』の違いがわかる男」 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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マキタスポーツ「『推し』と『好き』の違いがわかる男」

連載「おぢ産おぢ消」

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マキタスポーツAERA#マキタスポーツ
マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである』『一億総ツッコミ時代』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞。新刊に『越境芸人』(東京ニュース通信社)

マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである』『一億総ツッコミ時代』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞。新刊に『越境芸人』(東京ニュース通信社)

イラスト:大嶋奈都子

イラスト:大嶋奈都子

 お笑い芸人のマキタスポーツさんによる「AERA」の連載「おぢ産おぢ消」。俳優やミュージシャンなどマルチな才能を発揮するマキタスポーツさんが、“おじさん視点”で世の中の物事を語ります。

【今週のイラストはこちら】

*  *  *
 娘と話していて、あまりのマインドの違いに「これは、ちょっと……」と思うことがある。

 実のところ、娘という「若者」に対して、本気で「けしからん!」と思うことは少ない。なぜかと言えば、自分の若い頃とだいたい同じだからである。世代間ギャップを嘆き、「今の若い奴は……」と私が言うのは、大人の立場や、親の立場で愚痴を言っているだけ。また、それをこうしてネタにする立場でもあるので、「昔はこうだった」や、あるいは「こうあるべきなのに、そうなっていない」と、“嘆かわしがって”見せているのである。

「親」という大人になって気づいたのは、いつの時代も「若者」は、相変わらず、単に未熟だったり、普通に愚かだったりという事実。大別すれば、世間には「大人マインド」と「若者マインド」の違いが存在しているだけだ。だから大方察しがつくし、私たち大人ができることは、大人マインドを振り回してばかりではなく、若者マインドの立場に立って考えてみることじゃないだろうか。だって想像がつくのだから。

 ところが、若者マインドに立ち返って考えてみても、理解できないことがあるのだ。

 それが「好き」について。

「推し」という言葉がある。元来はアイドルファンの間で広まった言葉らしいのだが、これが一般に卸されてきて、「好き」の範囲が昔よりだいぶん拡張。私の娘などは月単位で「推し」が変わる。話を聞くと、特段娘が気が多いタイプということでもない。また、「推し」は有名人にだけ向けられていないのも特徴的。学校内でそれらの気持ちを表明し合っているのだという。しかも男女共に。元来の意味に立ち戻ってみれば、好きなアイドルを人気者にするために、文字通り「推薦」する意思表示だったもの。応援以上の気分を意味するもので、ファン内での政治的な活動でもあったと思う。便利なものはすぐ普及する。彼や彼女たちにはそれが便利だったのだろう、それを使い、自分の気分を表明し出した。


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