移住するならどのタイプ?自己診断チェックシート(AERA 2018年10月8日号より)
移住するならどのタイプ?自己診断チェックシート(AERA 2018年10月8日号より)

 移住を検討する上でまず必要なのは「己を知る」こと。自分の志向に合う移住先が見つかれば、現地の情報は現地の人から得るべし。

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 地方への移住希望者はかつて、「脱都会派」や「田舎好き」といったキーワードで一括(くく)りに捉えられがちだった。

 しかし、価値観の多様化が進む今、移住希望者の目的やニーズはさまざま。こうした実情を把握し、受け入れ自治体との効果的なマッチングに生かしてもらおうと、広告会社の博報堂がマーケティング手法を駆使して編み出したのが、「地方移住者タイプ別分類調査」だ。

 同社の兎洞武揚(うどうたけあき)ブランド・イノベーションデザイン副代表(49)は経緯についてこう明かす。

「商品やサービスをプロデュースする際、顧客の価値観に関するデータを集めるのは必須のアプローチなのですが、『移住』に関しては把握できていないのが実情でした。移住をマーケットと捉える視点がそれまではなかったのです」

 2015年、全国の政令指定都市の20~60代を対象にアンケートを実施。他の類似調査との違いは、「移住に関心がある」と回答した1割強の約2千人に限定してデータを抽出した点にある。都市部に暮らす移住希望者に調査対象を絞ることで、地方移住に関するより詳細なトレンド把握に努めたのだ。

 独自の手法でデータ分析した結果、移住希望者は大きく7タイプに集約されることがわかったという。

 この調査データは、移住者を募る自治体向けサービスのために活用しているものだが、今回同社の協力を得て、本誌読者向けに「移住希望者自己診断チェックシート」を作成した(チャート参照)。移住に関心のある読者はぜひ、自分が7タイプのどれに当てはまるのか試してみてほしい。

 チェックシート作成の協力を得た同社の鷹野翔平ディレクター(30)はこうアドバイスする。

「本来は、さらに多岐にわたる調査項目への回答を得た上でタイプを分けています。今回はあくまで簡易的な診断である点に留意していただき、自分の移住への関心についてより深く考える入り口として活用してもらえれば」

 7タイプをざっと説明しよう。こだわりモノづくり志向は趣味のモノづくりに没頭したいタイプ。就農やクラフトなど「時間と手間をかけること」を楽しみたい人だ。感性を磨き、自分の感性を生かしたモノづくりで身を立てたい意識が強い。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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