「あっ、入っちゃった。僕でも打てるんだ、と(笑)。いろいろ言われていたので、逆にできるのかなっていう思いがあったんですが、言われていた通りに打っちゃったなって。勝てばいいと思ってましたし、ホームランを打とうとは思ってなかったので、そもそもそこに感情がないというか。注目してもらえることで楽しくプレーできる。楽しくやった延長線上にホームランがあったということなんです」

清宮は続く九州国際大付戦でも本塁打を記録。チームは準決勝に勝ち進んだが、仙台育英に0対7。ベスト4で散った。

 このあと、清宮は高校3年の春にセンバツ大会を経験した。だが、夏の甲子園に戻ることはかなわなかった。

「3年の夏、西東京の決勝で負けたあとは喪失感がひどかったですね。1週間ぐらい、LINEは全然返せなかったですし。ふとした時に悔しさがのしかかるというか。でも、1年の夏にいきなりいい思いをして、2年の夏は西東京の準々決勝で負けて、そこから主将としてチームをまとめていく楽しさも知りましたし。いろんな感情を味わえた3年間でした。あとは……」

 清宮は、ちょっぴりはにかみながら言葉を継いだ。

「こんなにホームランを打てるとは思ってなかったですね」

(スポーツライター・市瀬英俊)

AERA 2018年8月6日号