『出生前診断 受ける受けない誰が決めるの?

──遺伝相談の歴史に学ぶ』の編者・著者でもある前出の山中さんはこう指摘する。

「検査でわかるのはすべての先天的な病気や障害ではないですし、結果次第では重い選択を迫る検査なのに、知識を正しく理解していない人も少なくない」

 このようにさまざまなリスクを伴う高齢出産だが、年々増えていることは事実。吉村さんは高齢出産に臨む女性に三つの助言を送る。

(1)いつでも入院できる準備を整えておくこと(2)夫や両親らと話し合い、バックアップを受けられるようにしておくこと(3)最悪の事態に備えて心の準備をしておくこと。

 妊娠期間中は少なくとも月に1回は医師の診断を受ける。それは自分の体と向き合うチャンスでもある。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などになっても、将来の生活習慣病の発症を予測し、備えることもできる。

「高齢出産を推奨はしませんが、リスクを正確に把握して準備して臨めば、40歳を過ぎても素晴らしいお産になりますよ」(吉村さん)

(編集部・深澤友紀)

AERA 2018年6月25日号より抜粋