メインのランプとその下部の希少部位とされるイチボ、他に日替わり2種を含めた7種の肉が楽しめるコースが3500円とはお得だ。UNOで使う肉は豪州産。輸入される量が多く、安定的な提供ができるので選択した。本店の他に現在、溜池山王と恵比寿にも店舗があり、さらに拡大を目指しているという。

 UNOのような赤身の提供スタイルが極まってくると、その反動も起きる。2011年4月に発生し、富山県を中心に5人もの死者を出した焼き肉チェーンの食中毒事件以降、牛の生食も原則許されなくなった。だが、ユッケを欲する層は相変わらず絶えない。今では多く馬肉で代用されているが、生の牛肉フレークを丼にした牛トロ丼も密かなブームとなっている。

 販売元の十勝スロウフードによれば、そもそもこの製品は1997年に発売され、上記の騒動から先は塩漬けを施すことで安全基準をクリア。東京都内の方面でいち早く採用したのが、三鷹に本社がある「円らく」グループだ。柳佳文社長によれば、17~18 年前の開業時、取材に訪れたライターから聞きつけた。

「試しに1回取り寄せてみると、温かいご飯の上ですっと溶け、実にコスパも高い。以来、自信を持って提供しています。食フェスなどに出店することも多く、今ではほぼそれも牛トロ一本。主催者側もわかってオファーしてくるんです」(柳さん)

 論より証拠。味見をすると、メインで使っているプレート状の冷凍肉はフレークより脂身が少なく、和風ユッケ丼そのものの風味。久々の食感だ。(ジャーナリスト・鈴木隆祐)

AERA 2018年4月16日号より抜粋