多くの人の寿命が100歳を超える「人生100年時代」を迎えようとしている日本。自身の生き方と同時に考えなければならないのは、そんな時代に子どもたちをどう育てていくのかということ。子どもの将来を案じる声も聞こえるが、これからの時代がどうなるかは「団塊ジュニア」がカギとなるようだ。
これからの100年は、決して楽観的ではいられない。人口動態から日本の未来を予測し、44万部のベストセラーとなっている『未来の年表』(講談社現代新書)にはショッキングな事例が並ぶ。たとえば、24年には3人に1人が65歳以上になり、33年には住宅の3分の1が空き家になる。40年には自治体の半数が消滅危機となり、50年には食料危機にまで陥り、65年以降は日本の国土が外国人に買いあさられる可能性まで指摘する。
子の将来への不安は、アンケートの回答からもうかがえる。
「今までの常識が全く通用しない就職戦線。大卒から正社員で就職という時代でなくなっている」(37歳女性・無職)
「少子化で親戚が少ない。頼れる人ができるかどうか」(47歳女性・医療)
すでに、未来を見据えた「教育」を始めている人もいる。
「金銭教育。いくら稼ぐかより使い方、増やし方、心の持ちようで人生は変わるので」(49歳女性・自営業)
『未来の年表』の著者である河合雅司さんは「これからの100年は、今見えている社会とは別物になる」と語る。
「今年は75歳以上と74歳以下の高齢者の数が逆転します。つまり、『高齢者の高齢化』がどんどん進む。今後は80歳以上の高齢者と共生できるインフラを築いていかなければならない。一緒にビジネスをし、彼らが大口の消費者となる社会です。意識改革が必要です」
河合さんによると、ひとつの「ヤマ場」となりそうなのは、2042年。人口ボリュームの多い団塊ジュニア世代が全て65歳以上となり、高齢者人口は約4千万人とピークとなる。さらに、この世代は就職難で非正規労働者が多く、低年金、無年金となる高齢者も多くなることが予想される。一気に「貧しい高齢者」が増え、これを生活保護などでカバーすると、20兆円近い追加費用がかかる試算もあるという。就職難に加え、30代の家族形成期にリーマン・ショックに見舞われた団塊ジュニア世代は出産に消極的で、第3次ベビーブームは起きなかった。結果、圧倒的に少数の次世代が「貧しい高齢者」を支えることになる。これを放置すれば「日本最大のピンチになる」と河合さんは言う。