イイダさんだけの意見ではない。記者は今回、3月で雇い止めになる有期雇用職員9人に話を聞いた。8人が、自身、または近い知人が「6カ月たったら戻ってきてほしい」などと上司から言われたと明かした。(編集部・澤田晃宏)

 13年の改正労働契約法には抜け道がある。有期労働契約の間に6カ月の空白があれば、その前後の契約期間は通算しない。

 つまり、半年たてばまた、理研と上限5年の有期雇用契約を結ぶことができるのだ。

 研究アシスタントのトガワさん(女性・40)は、理研内のこんな現状も記者に明かした。

「4月に一気にいなくなると現場が混乱するのは目に見えている。先に何人かの秘書が順番に退職し、6カ月空けて戻って、誰かは残るようにしている」

 雇い止めに遭うにもかかわらず、組織を思ってこうした行動をとる職員がいることを理研は知っているのだろうか。昨年12月、理研労は雇い止めの撤回を求め理研と交渉するも話が折り合わず、東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。

 だが、命令発令までに早くとも1年はかかり、3月の雇い止めには間に合わない。申し立てに関わった菅俊治(しゅんじ)弁護士は、

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