朝日杯は、持ち時間が各40分と短い「早指し」で、1局あたり2時間程度で決着がつく。羽生竜王はこの「早指し」に強く、朝日杯過去10回のうち5回も優勝している。藤井四段は「公式戦29連勝」という大記録が光るとはいえ、デビューしてまだ1年余りの若武者だ。

 村山七段は言う。

「羽生竜王の経験が上回る可能性が高いと思うが、藤井四段にも勝つチャンスは十分ある」

 将棋が全く分からないという人は、羽生竜王の指先と藤井四段の姿勢に注目してほしい。

 羽生竜王は、勝ちを確信すると指先が震える、とされている。2008年、永世名人の資格を獲得した第66期将棋名人戦、森内俊之名人との対局でもそうだった。一方の藤井四段は、優勢の局面で指し手を誤った際に身をよじりながらミスを悔やみ、ファンを驚かせたことがある。

 親子ほど年の離れた天才二人の激突は、どんなドラマを生み出すだろうか。(朝日新聞文化くらし報道部・村瀬信也)

AERA 2018年1月29日号