羽生竜王が開く研究会のメンバーである村山慈明七段(33)は、どんな戦いになるかは、羽生竜王次第だと見ている。

 現在の将棋界では、激しい攻め合いになって一気に決着がつく可能性を秘めた「居飛車」が主流の指し方だ。藤井四段が羽生竜王を破った時の角換わりも、居飛車の一種。藤井四段はプロ入り以来、この作戦を貫く。

 対して羽生竜王はオールラウンダーだ。居飛車を選ぶことが多いものの、攻撃の要である飛車を左辺に移動させて戦う「振り飛車」も使いこなす。この戦法ではじっくりとした戦いになりやすく、居飛車とは異なる感覚が求められる。村山七段は、

「羽生竜王は今回の朝日杯本戦で、2局とも(振り飛車の一つである)四間飛車を採用し、事前の研究を生かしにくい力勝負に持ち込んだ。藤井四段戦で、再び振り飛車を選ぶことも考えられる」

 と分析。どちらが先手番になるかも、勝敗を左右することになりそうだ。

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