大泉:私は作品選びにすごく時間がかかるの。「謎の女です」と聞いただけじゃできないな。でも、探偵物のヒロイン役はオイシイですよ。ヒロインが美しい人だと切ない物語になるし。今回も北川さんだから見ている側も感情移入ができるんじゃないですか。クレーンからトラックの荷台に飛び降りるシーンだけは可哀想だったね。

北川:本当に怖かったです。飛び降りる前に「3、2、1」とカウントしていただきましたが、(探偵の相棒役の)松田龍平さんが……。「この倍の高さでも全然いけるなー」って。あの人、ちょっとおかしいんじゃないですか?(笑)

大泉:アッハッハ。昨日の取材では松田君が「そんなに高くないのに(北川さんは)なんで飛べないの? あの人ちょっとおかしいんじゃないですか」って。お互い言ってます(笑)。

北川:私にとっては最難関シーンでしたよ。実は、撮影まであと1週間? あと5日?って数えてたんです。全体から見れば「大したシーンじゃない」みたいな扱いだったから、撮影変更があった時は気が気でなくて。このシーンを撮り終えてから調子が出てきたんです!

大泉:そこまでとは思っていなかったなぁ。私が体力的に一番キツかったのは、雪の中パンツ一丁で船に乗せられたシーン。面白くしたいので「何でもやりますから」って言っちゃうんです。そしたら吉田照幸監督が「いま波のない港で撮っていたので、沖に出たいです」と言うから、やりましょうと。そのままパンツ一丁で沖に出たんですが、結局「波が高くて撮れない」って。「そんなこと、わかるだろ!」っていう話だったんです。

北川:大泉さんは思っていた通りの方でした。バラエティー番組などで人を笑わせていらっしゃるイメージがありましたけど、撮影中も楽しくて。でも、演技ではものすごく職人的なアプローチで研究して撮影に臨まれる方ではないかと想像していたんです。実際、どうすれば探偵らしいか、作品にとって面白いかなど、自分が気持ち良く演じられたらいいというだけではなく、いろんな角度からお芝居をご覧になってつくっていらっしゃると感じました。

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