左がChiCaRo。2児の母親でもある阿部さんは自身の育児経験からChiCaRoを開発。安全に配慮し、子どもが飽きずに遊べるようにした(写真/ChiCaRo提供)
左がChiCaRo。2児の母親でもある阿部さんは自身の育児経験からChiCaRoを開発。安全に配慮し、子どもが飽きずに遊べるようにした(写真/ChiCaRo提供)

 離れているから「会えない」。でも、ロボットに「乗りうつ」れば、いつでも会いに行ける。「会えない」を解消する最新技術を取材した。

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「おいしそうなバナナだね。私にもちょうだい」

 高さ35センチメートル、重さ5キログラムの小さなロボット「ChiCaRo(チカロ)」から、女性の声が聞こえる。顔に相当する位置にあるディスプレーには、女性の顔が映っている。3歳のはる君が手に持っているバナナを差し出すと、ChiCaRoは胸の位置にある手を伸ばした。

「10分間でも子どもを見ていてもらえるととても助かります」

 と、はる君の母親である山内直子さん(40)は言う。

 ChiCaRoを遠隔で操作していたのは、保育士だ。この夏の間、山内家では毎日数十分間、ChiCaRoを通じて保育士がはる君と遊んでくれた。遠隔からビデオチャットのようにして会話をするほか、ChiCaRoの手を動かしたり、ChiCaRo自身をゆっくりと旋回したり、前進したりすることもできる。

 都内在住の山内さんは共働きではる君と9カ月の次男の子育て中。山内さんの実家は神奈川県、夫の実家は愛知県だ。

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