「一時期、小室さん時代の曲はしばらく歌わない方が良いのかもと思っていました。過去は振り返りたくないし、私は今の自分を見てほしかったから。でも、小室さんが作ってくれた歌はいい歌が多いんですよ。今でも歌うとテンションが上がる。やっぱり、いいものはいいし、そう素直に言える大人でいたい」

 どん底を味わい、苦しみを乗り越えた中から生まれる言葉や音楽だからこそ共感できるし、信じられる。今もコンサートで、アムラー世代は「アムロちゃん、カッコイイ!」と声援を送る。小室時代を知らない10代の新しいファンも増えている。

 素顔は、とてもシャイ。旅行前に「ユニクロ」へ買い物に出た時のこと。買い物客でごった返す店内で、人と肩がぶつかるたびに「すみません」と謝ってばかり。結局、謝ってばかりで目当ての商品にたどり着けないまま、敗北感を背負って家に帰った。人を押しのけてまで、前へ前へと進めない性格。

「もっといろいろ積極的にならないといけないと思うんですけど、人見知りも相変わらずです。“やっと打ち解けてくれてうれしい”と言ってくれたスタッフは、実は、出会って5年たっていたり(笑い)。歌番組でも共演者の方に“私は放っておいてくださいオーラ”を放っていましたが、それじゃいかん!と、今は友達作りに励んでいます」

 今、30歳。アムロの新たなベクトルは、ずばり「ラブリー」。「安室奈美恵はカッコよくあるべき」との思いから、洋服はモノトーンばかり、花束を持っての撮影では「どんな表情をすればいいのか分からない」と戸惑っていた頃を考えると、劇的な変化だ。

「カッコイイだけだと、仕事はよくても、一人の女としてはどうなの?って考えるようになって。勇気を出して、女らしい色も取り入れてみようかなって」

 クローゼットにはカラフルな色が並ぶようになった。部屋のカーテンはピンク色に替え、キラキラの可愛いシャンデリアも買うつもり。苦手だった料理にも挑戦し、目下の愛読書は、少女漫画の王道『王家の紋章』。今、恋愛モード?と思わずにはいられないほど、笑顔がまぶしい。

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