「できすぎた話でまさかと思いますが、キッドは捕まる前に東シナ海近辺で海賊行為を働いていた形跡があり、キッドが残したという地図も宝島の地形にそっくり」(同)

 ところで、もし埋蔵金を見つけたら、お宝は誰のものに?

「基本的には落とし物と同様、『遺失物法』の適用があります」

 とアディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士。埋蔵金も道で財布を拾ったのと同じく、発見者は警察に届けなければいけない。その後、6カ月以内に遺失者(持ち主の相続権者)が現れた場合は、落とし物と同様、発見者は「報労金」として5~20%を請求できる。現れなかった場合は、埋蔵金が出た土地の所有者と折半することになるという。こうした点について、八重野さんは異議を唱える。

「長い時間と労力と費用をかけて掘り出した埋蔵金が、たまたま見つけた遺失物と同じ扱いなのはおかしい」

 発見者の取り分があまりに少ないので、見つけても警察に届けずネコババする例もあるという。八重野さんは、立法を願い出ようと考え草案を作り、所有者が判明した場合は発見者には50%、判明しなかった時は発見者が80%から95%もらえるようにするべきだとする。そうすれば、ネコババせず世間に発表してもいいという気持ちになると話す。

「僕は見つけたら公表して世間をあっと驚かせたい。もちろんお金目当てもあります(笑)」

 夢とロマンと現実と──。謎を追い求める人は楽しそうだ。(編集部/野村昌二)

AERA 2017年9月25日号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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