新学期に多発する子どもの自死 防止のために必要なのはどんな大人?

2017/09/18 07:00

「私は気持ちを聴いてほしかっただけ。いじめだけじゃなく、自分の身の上とかいろんなことがつらかった。今の若い子が追い込まれる原因も、ひとつじゃないと思う」(女性)

 厚生労働省自殺対策推進室発表の「人口動態統計に基づく自殺者数」によると、2016年の自殺者は2万984人。過去10年で最も少なく、特に中高年の自殺が減った。

 しかし、20歳未満の自殺者は依然として減らない。

 16年は499人で15年の535人から少し減ったものの、17年は1~3月の3カ月で135人。昨年同時期の108人より27人も多い。

 兵庫県などでカウンセラーを務め、『学校現場から発信する 子どもの自殺予防ガイドブック いのちの危機と向き合って』の著者でもある阪中(さかなか)順子さんは、「(27人増は)重い数字」と話す。少子化で子どもの数は減っている。自殺者数が横ばいでも人口あたりの自殺死亡率は高まっていることになるのに、実数も増えている。

 18歳以下の自殺者数が最も多いとされるのは、新学期が始まる9月1日。今年も8月30日から9月1日にかけて首都圏で中高生4人が自殺を試みたとされ、うち3人が死亡している。

 阪中さんによれば、自殺を伝える報道も自殺を誘発する要因となっている可能性がある。中高生は、ネットニュースなどで同世代の自殺の詳細を知る。

「報道の影響を受けると、ハイリスクな子どもは自分も命を絶つしかないんだという感覚に陥る傾向がある。自殺予防のための記事が増えたのはいいことですが、ハイリスクな子にとってプラスなのかどうか、悩ましいところです」(阪中さん)
●誰かと充実感を共有すれば子どもの心はほぐれる

 若い命を守るにはどうすればいいのか。冒頭の女性を救った「おばちゃん」がヒントをくれた。

「いつ、どうやって死ぬか」を考えているうちに高校生になっていたという石川県内の女性。高校でもいじめは続き、女子更衣室でお金がなくなって犯人にされたことから不登校に。かろうじて卒業し、住み込みで働き始めたもののほどなく辞めてしまう。

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