「AIに音色・声質選ぶ“センス”あるのか」 作曲家・ピアニスト新垣隆 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

「AIに音色・声質選ぶ“センス”あるのか」 作曲家・ピアニスト新垣隆

このエントリーをはてなブックマークに追加
AERA
新垣隆(にいがき・たかし)/桐朋学園大学音楽学部作曲科を卒業し、長く同校の非常勤講師を務める。3年半前、佐村河内守氏のゴーストライターだったことを懺悔告白(写真:本人提供)

新垣隆(にいがき・たかし)/桐朋学園大学音楽学部作曲科を卒業し、長く同校の非常勤講師を務める。3年半前、佐村河内守氏のゴーストライターだったことを懺悔告白(写真:本人提供)

●含蓄のある巨匠の作品

 クラシックであれポップスであれ、あるいは演歌であれ、近代の音楽はメロディー、ハーモニー、リズムという共通の3要素でできています。ところがクラシックでは同じ楽譜でも演奏者によって全く違う印象になる。同じバイオリンでも全然違う音色になる。AIはこの3要素をコントロールしつつ、人の感情に訴えるような旋律をビッグデータから抽出してこられるかもしれません。ただ、人間が選ぶような音色や声質といった要素を、AIが作曲や演奏の際に選択できるかどうかは難しい気がしますね。

 子どものころからピアノを始め、20世紀のリズムやハーモニーを「面白い」と感じてきましたが、習得するにつれ、バッハやモーツァルト、ベートーヴェンにもその当時の現代性が想像でき、あらためて「すごい」と認識できた。例えば、現代でいうと、テクノポップで一世を風靡したYMOは、音のボキャブラリーがラヴェルやドビュッシーのレベルで、極めて高度に最適な音を選び組み合わせている。その「センス」がAIにどこまであるか、興味がありますね。

 音楽を取り巻く環境は変わりました。特定の場でしか体験できなかった音楽が、録音技術によって個室でも楽しめるようになったことが一番大きな変化。AIは、人間の感情に訴えるような作曲のメソッドを自ら考えて構築していくレベルまで進んできた。一方で産業としての音楽を守り発展させるためには生の演奏、音楽体験も大事。演奏家がいてそれを支えるコミュニティーがあり、音楽活動が社会活動になり経済活動になり、循環する。生音と録音が併存していくことが大切なことだと思います。(構成/編集部・大平誠)

AERA 2017年9月4日号


トップにもどる AERA記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい