経済状況別の大学等進学率(専修学校含む)/出典:日本財団・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「子どもの貧困の社会的損失推計」(2015) (AERA 2017年8月28日号より)
経済状況別の大学等進学率(専修学校含む)/出典:日本財団・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「子どもの貧困の社会的損失推計」(2015) (AERA 2017年8月28日号より)
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 オープンキャンパス真っ盛りのこの季節。最近では親同伴で学内を回る姿も珍しくない。教育環境や入試倍率、学費もそうだが、“出口”の就職率なども気になるところ。AERA 8月28日号で、コスパのいい進学先を調べてみた。

 早稲田が児童養護施設出身者に奨学金を新設し話題となったが、好条件の奨学金制度にもかかわらず、応募者はわずか3人だったという。今後の課題を聞いた。

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 奨学金が社会問題となり、大学独自の給付型奨学金を創設する動きが広まっている。早稲田大学は2016年、児童養護施設入所者または出身者を対象とした「紺碧の空奨学金」を新設し、話題になった。

 早稲田の入学試験に合格し採用されれば、入学検定料、入学金、授業料や実験実習料などが全額免除となり、さらには最大月額9万円が在学中の4年間支給される。その狙いを齊藤泰治学生部長は、

「経済的理由で大学への進学を断念する子どもたちのなかにも、本当は勉強したい若者がいる。社会全体で育てていく必要があり、大学もその一端を担う必要がある」

 ただ、初年度の応募はわずか3件。問い合わせも10件程度にとどまった。実際に入学試験を受けるに至った者はおらず、採用者は出なかった。岡崎成光奨学課長は「大学も学ぶことが多かった」と振り返る。養護施設に広報して回るも「早稲田を受験できるような学力のある子どもはいない」。ある地方の施設では「宇宙に行くくらい難しい」と言われたこともあった。

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