また、想定外だったのは、問い合わせは養護施設ではなく、里親やファミリーホームの入所者、関係者からが多かったことだという。岡崎奨学課長はこう話す。

「3件の応募のうち1件は里親親子で対象にならず、応募から書類申請に進んだのは2人。今年は対象を広げ、里親家庭の里子やファミリーホーム入所者なども応募できるように制度を変えました」

 初年度は想定より応募は少なく、採用者も出なかったが、それでも対象となる子どもがいることが分かったのは収穫だったという。

「書類申請を通過した2人ともが結局は受験をしなかったが、1人は地方の国立大学に進学したと聞く。新しい奨学金制度で、早稲田を目指せる子どもはいる。そんな彼らが入学して早稲田で学び、その姿を見てまた応募者が増えれば嬉しい」(岡崎奨学課長)

 まだまだ制度の周知が必要で、職員自らが施設等に出向き、広報活動を続けている。(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年8月28日号