辛酸なめ子「鴨長明の『方丈記』は年を重ねるとわかる? 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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辛酸なめ子「鴨長明の『方丈記』は年を重ねるとわかる?

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辛酸なめ子さんの忘れられない一冊とは…(※写真はイメージ)

辛酸なめ子さんの忘れられない一冊とは…(※写真はイメージ)

 子どもの頃読んで忘れられない本、学生時代に影響を受けた本、社会人として共鳴した本……。本との出会い・つきあい方は人それぞれ。各界で活躍する方々に、自身の人生の読書遍歴を振り返っていただくAERAの「読書days」。今回は漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんです。そのちょっと不思議な世界観を形成した読書遍歴とは……?

*  *  *
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず……」

 高校時代、教科書で読んだ『方丈記』。出だしの文が有名ですが、達観した無常感が漂い、ダウナーだけれど妙に心惹かれるものがあります。高校時代から何十年も経った今、ふとした時にインナーチャイルドならぬインナー長明が発動し、つらい局面や仕事で不遇さを感じたときなどに、「ゆく河の流れは絶えずして……」と脳内でリピートされることがあります。

 年を重ねるうちに、鴨長明が書いている通り、永遠のものなんてないと実感されます。数年前まで人気だった歌手が名前を見なくなったり、全ては淀みに浮かぶうたかたのよう。執筆などしながらも、水面の泡をかき回しているだけのような感覚を覚えることがあります。でも、鴨長明のような文章が書けたら、無常の世でも800年くらい後世に残るのです。恩恵にあずかるため、何度も熟読し、語彙をインプットしていきたいです。

辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
1974年東京都生まれ。漫画家、コラムニスト。著書に『霊的探訪』他

AERA 2017年5月1-8日合併号


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